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東京借地借家人新聞


2008年11月15日
第500号

世直しイッキ大集会
明治公園に2000人集合

貧困ビジネス
活用される定借物件
分科会で住宅貧困の実態を告発

世直しイッキ大集会のデモ行進
世直しイッキ大集会のデモ行進
「反貧困、世直し一揆」とアピールする参加者
「反貧困、世直し一揆」と
アピールする参加者

 反貧困ネットワーク(代表宇都宮健児弁護士)主催による「反貧困世直しイッキ大集会」が10月19日午後1時から2千名が参加して明治公園で開催された。2時からの分科会は、住まい・労働・高齢者・子どもなど12のテーマで開かれ、2時間にわたって熱心な議論が行なわれた。
 住まいの分科会は「安心できる住まいをみんなの手で」をスローガンに、ゼロゼロ物件のスマイルサービス事件原告、ホームレス支援団体、借地借家人組合、日本の私立学校を解雇されアパートの明渡しを請求されたカナダ人教師、シングルマザー、障がい者、スマイルサービス被害対策弁護団の弁護士等12名が住まいの差別や不当な権利侵害の実態について報告した。
 スマイル事件原告の土田さんは、派遣社員で家賃が前月の28日の支払日を数日遅れただけで14回にわたり鍵を交換され、高額な違約金等を請求され、スマイルの社員に就寝中に勝手に部屋に入られた経験を語った。東借連の細谷専務理事は「定期借家制度がゼロゼロ物件など貧困ビジネスに活用されている。居住を不安定にさせる定期借家制度は廃止させる意外にない」と訴えた。
 集会の最後に「誰もが生きやすい社会を作ろう」と訴えた集会宣言を採択し、参加者は渋谷駅までデモ行進した。




貧困ビジネス規制せよ
東京住宅連が都に予算要求

東京住宅連の都市整備局交渉
東京住宅連の都市整備局交渉

 東京住宅運動連絡会は、10月22日の午後2時から2009年度東京都予算要求で都庁の都市整備局、東京都知事、都議会各会派を訪問し、都民の切実な住宅要求の実現をめざして要請行動を行った。5団体から12名が参加し、東借連から佐藤会長、細谷専務理事が参加した。
 都市整備局交渉では、中沢広報担当副参事、土屋広報課長が応対した。各団体から提出した要求について説明した。東借連からは17項目の借地借家人の要求を提出した。
 細谷専務理事は「ワーキングプアや非正規雇用の拡大で、家賃を支払うのも困難は借家人が急増する中で、礼金・敷金など初期費用を支払えない借家人をターゲットにしたゼロゼロ物件でアパートを貸している悪質な不動産会社や管理会社・連帯保証会社が、家賃が数日遅れただけで無断で部屋に立ち入り、鍵を取替えたり法外な違約金を取り立てたり、家財道具の処分をするなどで悪質な行為が社会問題になっている。都は宅建業法を理由に業者を野放しにすることは許されない。悪質な業者の調査と早期の規制を求める」と強く要請した。
 各団体からは、公営住宅の新規建設や単身の若者が入居できる制度への改善等の要求が出された。




明渡しの調停で頑張る
豊島区西巣鴨の下田さん

地代未払い実は年払い
地主の代理人あっさり明渡し撤回

調停が行われている江東区錦糸町の東京簡易裁判所
調停が行われている
江東区錦糸町の東京簡易裁判所

 豊島区西巣鴨に借地して50年以上になる下田さんのところに、昨年末、亡くなった地主の相続人である長男から、相続人代表としての挨拶と地代の請求書が送られてきた。いつもどおりに指定された銀行に一年分の地代を送金しておいたところ、今年に入り、下田さんの土地を相続したという地主の長女の代理弁護士から契約書に記載されている当月払いの賃料が支払われていないのでただちに支払うよう内容証明が送付されてきた。不安を感じた下田さんは知り合いの司法書士に相談した。まかせなさいといわれ安心していたが、今度は9月にいきなり、相手弁護士から地代の未払いと増改築違反で明渡しの調停をおこされた。
 依頼した司法書士に確認したところ何もやっておらず、仰天していろいろ探したところ借地借家人組合があることを知り相談にきた。地代の支払い方法はすでに数年前より一年払いとなっていること、増改築も先代の承諾を得たことなど調停の回答書を作成し、簡易裁判所の調停に出向いた。証拠の領収書も添えて提出したところ、あっさりと地主の弁護士は明渡し請求を撤回し、借地権を売買してくれという話に方向転換した。下田さんは「組合に相談して、本当に助かりました。売ることも買うことも出来ないので、このような強引な地主に対抗して、引き続き組合と相談して頑張ります」と話した。




地上げ屋が土地買取り強要
荒川区東日暮里

 荒川区東日暮里3丁目で約19坪の借地をしている竹本誠さんは今年の8月に更新を迎える事になっていたが、2月頃地主から今度土地を売ったので後はその人達と話し合ってほしいと連絡が入った。 その後、KKニーズと名乗る社員が二人を訪ね、「土地を買うか借地権を売るかどちらかかにしろ」と言われ地上げ屋と判明。竹本さんは組合に入会し、買取りを断ったところ「更新料150万円、地代は現行の倍額の3万円を支払え、当社の言うことを聞かなければ裁判でも何でもする。其の時には大変な費用がかかる」と脅かされた。竹本さんは、今後話し合いは組合事務所以外ではしないと頑張っている。




【借地借家相談室】

固定資産税台帳を用いて借地人にも
適正地代を計算することが出来るか

(問)適正な地代の算出方法はあるのか。

(答)地代の算定方式は法定されておらず、絶対的な算定方式というものは見当たらない。地代は当事者間の協議によって定めるのが原則であり、当事者間の合意額が適正地代であるというのが借地借家法の建前である。従って特段の事情がなければ地代は原則として公租公課を下回らない合意額であれば、それが適正地代であると言える。
 裁判では適正地代の算定方法として(1)スライド方式(2)積算方式(3)差額配分方式(4)賃貸事例比較方式(5)公租公課倍率方式等がある。だが、どれも一長一短で万人が納得するような算定方式はないというのが現状である。裁判の実務では複数の方式によって求められた地代を総合的に検討する総合方式が定着している。
 借地人が簡単に地代の目安を算定出来るというのは前記の方式では(5)であろう。地代と公租公課(固定資産税・都市計画税)の関係を統計処理した調査結果から東京23区の地代と公租公課の倍率は住宅地では概ね3倍前後で、商業地ではその2倍前後とされている。
 03年4月1日から借地人・借家人等は、都税事務所で固定資産課税台帳の(1)「閲覧」及び(2)「土地評価証明書」の交付が受けられるようになった。交付を受ける場合、借地人であることを確認出来るものを持参する必要がある。例えば賃貸契約書や賃借料の領収書等である。身分証明書(運転免許証・健康保険証)も持参した方がよい。
 (1)固定資産税額は固定資産税課税標準額×1・4%(年間)で(2)都市計画税額は都内23区では減額措置が採られているので都市計画税課税標準の特例額×0・3%(年間)で求められる。
 (1)と(2)の合算額を2〜3倍すれば地代の概算額が算定出来る。この方式は東京簡易裁判所の調停にも使用され、地代の調停は住宅地では3・1倍前後、商業地では2・4倍前後で成立している。
 なお最高裁判所事務総局から91年12月付の「民事調停の適正かつ効率的な運用に関する執務資料」で「最終合意賃料が公租公課の2〜3倍に収まっているときは、加減要素として考慮しない」と記載されている。言い換えれば地代は公租公課の2〜3倍の範囲内であれば適正と言える。




組合の催物とお知らせ

■城北借組 「西武デパート相談会」
  12月17日(水)・18日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
  「無料法律相談会」
  12月19日(金)午後2時から城北法律事務所。担当田見高秀弁護士。相談者は要予約。連絡・(3982)7654。
■大田借組 「理事会」
  11月29日(土)午後6時半大田区消費者センター。
  「常任理事会」
  12月20日(土)午後6時半組合事務所。連絡・(3735)8481。
■多摩借組「定例法律相談」
  12月6日(土)午後1時半から組合事務所。担当山口真美弁護士。相談者は電話で必ず要予約。連絡・042(526)1094。
■江東借組「法律相談」
  毎月第2水曜日午後6時から亀戸カメリアプラザ。連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
  毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
  毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。要事前連絡。連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
  毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
  「法律相談」
  毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。連絡・(3801)8697。相談者は要予約。
■世田谷借組「相談会」
  毎月25日午後2時〜7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■北借組「法律相談」
  12月3日(水)・17日(水)午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■東借連 「秋季研修会」
  11月29日(土)午後1時半豊島区東部区民事務所。講師・田見高秀弁護士。





毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可

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