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東京借地借家人新聞


2007年7月15日
第484号

住まいは人権デー
住まい連が池袋駅で街頭宣伝

ネットカフェ難民なくせ!
佐藤会長が借地借家法改悪反対訴える


池袋駅東口で法改悪反対を訴える
佐藤会長右から3人目)

 国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)は、6月14日午後5時30分から池袋東口において「住まいは人権デー」の街頭宣伝行動を実施した。
 6月14日は、11年前の96年6月に第2回国連人間居住会議で「居住の権利」を世界各国の合意で「基本的人権」と位置づける宣言を行なった。
 住まい連では宣言を記念し、毎年6月14日に街頭宣伝を実施している。当日は東借連をはじめ住宅団体、労組が参加した。
 雨天の中での行動となったが、国民の住まいを守り豊にする「住居法」の提言などの住まい連の活動等を紹介するチラシを配布し、「ネットカフェ難民をなくせ」「若者に家賃補助を」と訴えた。
 佐藤富美男東借連会長は宣伝カーから、「日本経団連など財界は都市再生の名の下に、借地借家法を改悪して借地借家人を追い出し、高層マンションやオフィスビルの建設を大規模にできるようにしようと狙っている」と訴えた。




大山商店街で街宣

城北借組など5組合11名参加

大山商店街で宣伝行動する東借連役員

 東借連は、6月9日正午から1時間にわたり、東武東上線大山駅前の大山商店街で借地借家法の改悪に反対する街頭宣伝行動を行った。
 当日は、地元の城北借組をはじめとする5組合から11名が参加した。雨模様の天気だったが、商店街のアーケードで城北借組の講座・相談会のお知らせと署名用紙を印刷したチラシを配布した。




地主の土地が公売
豊島区で借地の明渡し

借地人が無断で建物名義変更
抵当権設定後で新地主に対抗力なし

借地上の建物の名義変更は注意が必要

 豊島区に借地して50数年経過している本沢さん宅に、先月、不動産業者が訪問してきた。話の内容は、地主が税金滞納で、今年中に公売になる予定なのでそのまえに明渡してくれないのかという話だった。
 寝耳の水の話で不安になった本沢さんは、以前、城北借組に世話になったという知人から組合のことを知って電話した。西武デパートで相談会を行っていること知らされ相談に行った。
 地主は平成4年にある金融会社から本沢さんの借地も含め土地を担保に抵当権を設定した。その後、この借金に追われるようになって、税金の支払いが滞るようになり、今回公売予定になった。
 更新契約時に契約した本沢さんの夫が、こちらも借金まみれになる中で、建物だけは担保にしたくないと考えた本沢さんは、地主の承諾なく名義を夫から自分(妻)名義に切り替えてしまったという点とその名義変更が、平成7年で、地主の抵当権設定後であった。このまま公売になった場合、落札した新しい貸主に対抗できないために、明渡しを求められた場合、明渡しをせざるをえないという説明を組合から受けた。
 本沢さんの夫名義の建物の名義変更に際して、地主の承諾と夫との共同名義にしておけば、公売になっても新しい貸主に対抗できる権利をもっていたので安心して住み続ける事ができたのであった。名義変更に際しては十分な注意が必要である。




供託中に漏水修理請求

台東区

 台東区に住む山田さんは水道局の検査で借家の水道管が漏水していることが判明した。漏水箇所は床下。水道工事店に見積をしてもらった。自己負担で修繕するには費用が過重である。 契約書に「修繕は借主の費用負担で行う」と書かれている。
 現在家主から家屋の明渡請求を通告され、家賃は供託している。こんな状況で、家主に修繕を要求しても無視されるのは自明である。
 如何にすればよいか、借地借家人組合に相談した。組合の回答は「修理特約があっても、その範囲は小修理に限られる。当然修理義務は家主にあり、その費用は勿論家主が負担する」というものだった。
 組合の対処方法は(1)業者の見積り金額を書き、家主に修理依頼の配達証明付き内容証明を送付する(2)内容は指定した日までに工事が着工されない場合、自費で修繕するが、その費用は供託家賃と相殺する旨を通告する。実践の結果、指定日に家主から工事費を全額支払うと連絡があった。





【借地借家相談室】

契約が満了した場合は契約の更新しない
という特約条項書き込まれたが

(問)店舗併用住宅を借りて食料品店を営んでいる。5年前の契約期間満了の際に明渡し問題で家主との間でトラブルがあった。その時は契約更新が出来たが契約書に「期間が満了したら本契約は終了し、更新はしないものとする」という特約条項を書き込まれた。その期間が先月で満了し、家主から強く明渡しの催促をされている。移転先の当てもないので、そのまま営業しているが、(1)店舗を明渡さなければならないのか。
 また先日、家賃を今まで通り銀行振込したところ、家主は内容証明郵便で「建物の明渡し要求と当月分の振込金は建物使用損害金として受領する。なお今後の振込まれるものも損害金として受領する」という旨の通知をして来た。損害金として受取ると言うが、(2)このまま振込みを続けていればいいのか。

(答)(1)に関しては借家を明渡す法律上の必要義務はないというのが結論になる。理由は賃貸契約書に記載された「期間が満了したら本契約は終了し、更新はしないものとする」という特約条項が借地借家法第30条の強行規定に反するからだ。即ち30条は「この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする」と規定している。従って借地借家法第26条の法定更新制度を否定する特約は当然、法律的に無効扱いになる。
 (2)に関しては家主が「損害金として受領する」というのは賃貸借契約の存在を否定し、賃料として受取らないという意思表示であるから、支払いをしてはならない。次回の家賃支払は法務局へ家賃弁済供託という方法で支払う。
 今回従前通り銀行振込みにした家賃に関しては、次のような書式で「私が*日に振込んだ家賃に対し、貴殿から建物使用損害金として受領するとの御通知を受けましたが、私は*年*月分の家賃として支払ったものであることを通知します」という趣旨の配達証明つき内容証明郵便で家主へ送っておく必要がある。
 次回弁済供託をする場合、供託事由の欄の記載は「平成*年*月*日提供したが受領を拒否された」とする。2回目以降の供託は「明渡しを請求され、あらかじめ家賃の受領を拒否され目下係争中のため受領しないことが明らかである」と記載する。




毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可

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