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東京借地借家人新聞


2007年4月15日
第481号

都が07年要求に回答
東京住宅連が都市整備局交渉

都マスタープラン不十分な公営住宅の供給
都営住宅の新規建設の促進等訴える

挨拶する都市整備局総務部八嶋副参事
(3月20日第2庁舎)

 東京住宅運動連絡会は、昨年10月25日に都市整備局長に提出した「2007年度東京都予算等に関する要求書」の回答を受けて、3月20日午後2時から第2庁舎10階会議室において都市整備局交渉を行なった。当日は、東借連、東京公社自治協、東京公住協、23区公団自治協、都庁職住宅支部の5団体から11名が参加した。東借連から細谷専務理事が参加した。

礼金・更新の廃止を要求

 はじめに、東京都がマスタープランでかかげた公営住宅供給の目標量10年間で11万3000戸の根拠を尋ねたが、東京都は国の住生活基本計画に基づいて定めたものと述べるばかりで根拠は示さず、大半は空家募集と建替え戸数で新規建設で供給する考えのないことを事実上認めた。
  東借連では、都営住宅の新規建設の促進など11項目の要求について都側の回答があったが、細谷専務理事より(1)東京都の賃貸住宅防止条例の原状回復等の業者の説明が不十分であり、業者側だけの調査ではなく居住者の調査を行うこと。(2)契約更新時に業者側より請求される更新手数料を止めさせるよう都は指導を強化すべきである。(3)礼金・更新料を廃止すべきである。以上3点について質問した。
  これに対して東京都は、(1)条例に基づく説明が不十分な場合には窓口を設けて対応している。これまでに説明が不十分で注意・指導したケースはある。今のところ居住者のアンケートは考えていない。(2)更新時の更新事務手数料については宅建業法で指導できない。業界等を通じて注意を喚起していく。(3)礼金・更新料のない契約の普及については、防止条例の定着を見ながら、関係団体と連携し検討していく。具体的にいつまでに何をするという考えはない。以上の回答があった。




東借連事務所が移転

西池袋の城北借組事務所に4月1日

 東借連本部が、4月1日をもって豊島区西池袋5丁目の城北借地借家人組合の事務所に移転した。又、新聞発行その他一部機能は多摩借地借家人組合の事務所に移動した。
  新しい場所は、JR池袋駅西口から徒歩で10数分、メトロ有楽町線要町駅からは徒歩5分。バスを利用する場合は、西口の芸術劇場前のバス停からどのバスでも可。二つ目の停留所・池袋2丁目で下車1分。そばには立教大学、江戸川乱歩の旧宅などがある。

事務所地図

《新住所》

〒171―0021
豊島区西池袋5―13―10
ハイマート西池袋一〇一
電話 3982―7277
FAX 3982―7659




底地買いで頑張る
豊島区池袋の松浦さん

新地主が地代値上げで調停
適正地代で反論すると底地買取り提案

かつては商店街だった豊島区池袋周辺

 豊島区の池袋駅から徒歩10数分、池袋2丁目。かつては商店街だったが、今は、ほとんど商店もないような状態になっている。松浦さんは、このような場所にある10数坪の土地を借りて40年以上住んでいる。バブルの頃には、地主と更新料問題と賃料値上げで争いとなり、組合に入会し頑張って地代を供託したが、数年前には地主から地代を受領するから供託をやめるようにいわれた。その後、地代を地主の指定した銀行に振り込んでいた。
  昨年、いきなり地主と新しい貸主と名乗る不動産会社から通知が送られてきた。内容は「今度、底地を売買したので、新しい貸主の指定する口座に振り込むように」と記載されていた。松浦さん、一抹の不安はあったがその通りに支払っていた。しかし、その後、新地主は、借地権を買取るから明渡せと言ってきた。断ると相手は、この地域は商店街だから現状の地代は安すぎるとして、いきなり3倍にする値上げを通告してきた。これも断ると、賃料値上げの調停を裁判所に申し立ててきた。松浦さんは、都税事務所に行って固定資産税台帳から税金を明らかにして、その3倍から4倍程度の値上げには応じる用意があることを調停の場で主張した。新地主の不動産会社はあくまで近隣相場と比較して安いと主張した。新地主は、合意ができないでいると底地の買取を提案した。
  当初の提案よりその半分近い値段が、提案され買取る方向で話合いが進んでいる。松浦さん「組合のおかげでうまくいきそうです」と語った。




地主が相続税を地代に転嫁

国立市谷保

 3月号の「東京借地借家人新聞」で紹介した国立市谷保の三橋さんの地主が先月不動産業者と一緒に組合事務所を訪ねてきて、三橋さんと組合役員と話し合いを行なった。
  組合役員は、「毎年30%もの異常は値上げは認められない。固定資産税・都市計画税の3倍を基準に地代を固定するというのであれば今年は3倍までの値上げは認める。(06年度の地代は2・7倍で妥結している)」と主張した。
  これに対して地主は、「地代は税金の倍率という考え方はとらない。借地で貸したら借地部分を地価の4割と評価され課税される。相続税を支払うためには今の地代では安すぎるので値上げしてもらう」の一点張り。地主にかかる相続税を地代に転嫁するのは筋が違うと反論したが話し合いは平行線に終わった。




【借地借家相談室】

大規模災害で建物が滅失してしまった場合
借地権・再築はどうなるのか

(問)借地上の建物が大災害により倒壊・焼失・流失等で滅失した場合は借地人の権利はどうなるのか。

(答)借地契約が借地借家法施行(1992年8月1日)前に設定された借地権(建物滅失後の建物築造)に関しては借地法7条が適用される。借地権の存続期間が終了する前に地震・火事・台風等による災害によって借地上の建物が滅失した場合、借地権自体は消滅しない。借地法7条は建物が滅失しても建物を再築することが出来ることを規定している。判例も「建物を新築する時は、地主の承諾を得る旨の特約があるとしても、この特約は消失した建物を再築する際にも地主の承諾が必要である趣旨ではない」(東京高裁1958年2月12日判決)としている。従って災害による滅失の場合は増改築を制限する特約があっても地主の承諾は不要と言うことになる。
  問題は、借地人の建物が滅失している間―例えば建物の再築が資金繰り等で長引いている間に、地主が第三者に土地を売却してしまった場合である。本来、借地人は借地上の建物を登記しておけば土地所有者が代っても新所有者に対して自分の借地権を対抗(主張)することが出来、借地の明渡しを求められることはない。しかし建物が滅失している間に土地を取得した新所有者に対しては原則的には借地権を主張することは出来ない。だが「借地借家法」は建物の滅失の原因を問わずに借地人が建物を特定する事項・建物の滅失の日・建物建築予定等を掲示することによって建物が無くても旧建物の滅失の日から2年に限って新所有者に対抗することが出来る(借地借家法10条2項)という救済規定を定めている。
  大規模災害があった場合は政令で適用地域を定めて罹災都市借地借家臨時処理法(以下処理法)が適用される。12年前の阪神大震災の場合は20日後に処理法が指定された。「処理法」は借地権の存続期間に関しては建物の再築を容易にするために残存期間が10年以下の場合は一律に政令施行日から10年間に延長される(処理法11条)。また政令施行日から5年間に限り建物が滅失のままでも前記掲示をしなくても新所有者に借地権を対抗することが出来る(処理法10条)として借地借家法10条よりも救済措置が強化されている。



毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可


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